株式投資

リターンリバーサルの進行とトランプ政権の影響

2025年のデータを見ると、2024年の好調なパフォーマンス(特に日経平均+19%、TOPIX+18%、TOPIXコア30+25%など)が一転し、多くの指数でマイナスリターンまたは小幅なプラスに留まっていることがわかります。

これは、いわゆる「リターンリバーサル」(前年の上昇相場が反転する現象)が進行していることを示唆しています。

その最大の要因としてトランプ政権の政策が挙げられるのは妥当でしょう。

トランプ政権2期目(2025年1月20日発足以降)の政策、特に通商政策(関税引き上げ)や対中強硬姿勢が市場に不確実性をもたらしている可能性があります。

たとえば、ドル円が2024年の+12%から2025年に▲5%へと下落している点は、為替市場でのドル安圧力を反映しており、トランプ政権の保護主義的な経済政策が円高方向に作用しているのかもしれません。これが輸出依存度の高い日本企業、特に日経平均やTOPIXを構成する大型株にマイナスの影響を与えていると考えられます。

一方で、半導体関連ETF(例えばGX半導<2243>が2024年+36%から2025年▲17%)の大幅な下落は、米国の半導体産業への規制強化やグローバルな需要減退が影響している可能性があります。

トランプ政権が掲げる「アメリカ第一主義」が、サプライチェーンの再編や対中輸出制限を強化することで、日本やアジアの半導体関連企業にも波及しているのかもしれません。

東証グロース市場とスタンダード市場の健闘

興味深いのは、日銀が利上げモードにあるにもかかわらず、東証グロース市場250指数(+4%)や東証スタンダード市場指数(+2%)が比較的堅調に推移している点です。

通常、利上げは成長株や小型株にとって逆風となりやすいですが、2025年のデータではこれらの指数が日経平均(▲7%)やTOPIX(▲1%)をアウトパフォームしています。

この背景として「米国不信相場」という指摘は鋭い洞察です。トランプ政権の政策が米国経済や株式市場に不透明感をもたらす中、投資家が米国の大型株(例: S&P500やNASDAQ)への依存を減らし、日本国内の中小型株や成長株に資金をシフトさせている可能性があります。

特に、東証グロース市場は新興企業が多く、米国の影響を直接受けにくい内需関連銘柄や独自技術を持つ企業が含まれているため、相対的に底堅い動きを見せているのかもしれません。また、スタンダード市場も中小型株中心で、輸出依存度が低い企業が多いことから、為替変動やグローバルな不確実性の影響を受けにくい構造がプラスに働いている可能性があります。

市場全体のトレンドと今後の注目点

  • 大型株 vs 中小型株: 2025年のデータでは、大型株中心の指数(日経平均、TOPIXコア30、プライム150など)が軒並みマイナスである一方、中小型株や成長株(グロース250、スタンダード)がプラスを維持しています。これは、市場がリスクオフに傾きつつも、特定のセクターやテーマに資金が集中していることを示唆します。
  • バリュー vs グロース: TOPIXバリュー(+2%)がTOPIXグロース(▲4%)を上回っている点も注目です。トランプ政権下での景気刺激策(減税やインフラ投資)が期待される一方、利上げやインフレ懸念が成長株のバリュエーションを圧迫している可能性があります。
  • 半導体セクターの低迷: 日経半導体(▲9%)、GX半導体<2644>(▲6%)、GX半導<2243>(▲17%)の下落は、グローバルな半導体需要の減速やトランプ政権の通商政策による不確実性が影響していると考えられます。特に、米中対立が再燃すれば、日本企業もサプライチェーンリスクに直面するでしょう。

最新の相場情報と今後の見通し

2025年3月28日時点で、トランプ政権発足から約2ヶ月が経過しています。

現時点での市場の反応は、政策の具体化を待つ様子見ムードと、初期の不確実性によるリスク回避が混在している状況と推測されます。たとえば、関税引き上げが実施されれば、輸出関連銘柄(自動車や電機・精密など)がさらに圧迫される一方、内需関連やディフェンシブ銘柄(高配当株50:+2%、累進配当:+2%)が相対的に支持される可能性があります。

日銀の利上げモードが続く場合、円高圧力が強まる可能性もあり、これが大型輸出株のパフォーマンスをさらに抑える要因となりそうです。

ただし、グロース250やスタンダード市場が健闘している点から、日本市場全体が悲観一色ではないことも事実です。投資家心理が「米国不信」から「日本回帰」にシフトしているとすれば、中長期的な視点では中小型株やテーマ型ETF(例: ESGや高配当)に注目する価値があるかもしれません。

結論

トランプ政権の政策が2025年のリターンリバーサルの主要因であるとの見方は、為替動向や大型株の下落、半導体セクターの低迷から見て説得力があります。

一方で、東証グロース市場やスタンダード市場の底堅さは、米国への不信感が日本市場の新たな投資機会を生んでいる可能性を示唆しています。

最新の相場環境では、不確実性が高い時期であるため、短期的なボラティリティに備えつつ、内需関連や中小型株への分散投資が有効な戦略となるかもしれません。半導体ETFについては、政策の具体化を見極めるまで慎重な姿勢が求められそうです。

-株式投資
-